2025年から英検の準2級と2級の間に級が新設される予定ですが、
その名称は「準2級プラス」と発表がありました。
英検サイトで、「準2級プラス」のサンプル問題が紹介されましたので、
今回は準2級や2級とどう違うのか、検証してみたいと思います。
CEFRレベル
まずはざっくりとした「準2級プラス」のレベル感をみてみましょう。
英検によると準2級プラス新設によって、準2級と2級のレベルが変更することはない、とのことで、「準2級プラス」は、準2級と2級の間のレベルになります。
準2級より少し難しく、2級よりは易しい。
英検が発表しているCEFR(英語の国際標準規格)対応スコアをみていきます。
「準2級プラス」のCEFRスコアは、準2級と変わらないようです。
つまり、CEFRスコアは準2級と同じく、点数によってA1またはA2扱いとなります。
2級はA2またはB1扱いです。
そうなると、資格としての価値は準2級とさほど変わらないのではないかと思います。
例えば、入試で英検2級以上で加点などの措置をとる学校が、準2級プラス以上で加点対象にするなど扱いが変わることはないのではないでしょうか。
筆記問題
筆記問題の問題構成を見てみましょう。
ちなみに、英検の既存の級も2024年1回目よりリニューアルされます。
準2級プラスは2025年からはじまりますので、リニューアル後の準2級や2級の内容と比べていきます。
準2級 | 準2級プラス | 2級 | |
リーディング | 大問1 短文の空所補充 15問 大問2 会話文の空所補充 5問 大問3 長文の空所補充 2問 大問4 長文の内容一致 7問 計 29問 | 大問1 短文の空所補充 17問 大問2 長文の語句補充 6問 大問3 長文の内容一致 8問 計 31問 | 大問1 短文の空所補充 17問 大問2 長文の語句補充 6問 大問3 長文の内容一致 8問 計 31問 |
ライティング | Eメール返信 意見論述 50~60語 | 要約 25~35語 意見論述 50~60語 | 要約 45~55語 意見論述 80~100語 |
リスニング | 1部(会話) 10問 2部(会話) 10問 3部(説明文)10問 計 30問 | 1部(会話) 15問 2部(説明文)15問 計 30問 | 1部(会話) 15問 2部(説明文)15問 計 30問 |
筆記の試験時間
準2級 | 準2級プラス | 2級 |
80分 | 85分 | 85分 |
リスニングの試験時間
準2級 | 準2級プラス | 2級 |
25分 | 25分 | 25分 |
「準2級プラス」のリーディングは2級と全く同じ問題形式ですね。
ライティングは「要約」と「意見論述」になります。
これは2級と同じ形式ですが、文字数が異なります。
「意見論述」部分は文字数からみますと準2級と同じです。
「要約」の部分に2級の要素を取り入れています。けれども、「準2級プラス」と2級の「要約」の難易度には差があります。「準2級プラス」は短めの文章を25~35語にまとめますが、2級では、更に長い文章を読んで45~55語にまとめる必要があります。
「要約」は準2級までは練習してきていないので、「準2級プラス」では易しめに設定しているようです。
リスニングは2級と全く同じ形式になっています。
全体の試験時間も2級と同じ85分です。
全体として、「準2級プラス」の問題形式は、どちらかというと準2級よりも2級に似ています。
準2級に合格して、次は2級を目指して学習している人のために、2級の準備ができるよう問題形式をあわせた意図がうかがえます。
では、内容はどうでしょう?「準2級プラス」の難易度は準2級と2級のちょうど中間になっているのでしょうか。
以下が、準2級~準2級プラス~2級に求められる英語力です。
全体(読む・書く・聞く・話す)の目標Can-do
準2級 | 準2級プラス | 2級 |
日常的な話題について、情報や気持ちなどを基本的な語句を用いながら文章を書いて伝えることができる。 | 身近な社会的な話題について、情報や自身の考えなどを多様な語句を用いながら文章を書いて詳細に伝えることができる。 | 社会的な話題について、情報や自身の考えなどを多様な語句を用い、展開を考えながら詳細に文章を書いて伝えることができる。 |
英検は、級があがると質問の内容が段々と個人的な身近な内容から社会的な内容に変わっていきます。
ですので、準2級プラスでは、準2級の「日常的な話題」と2級の「社会的な話題」の中間の、「身近な社会的な話題」となっています。
では、「日常的な話題」、「身近な社会的な話題」、「社会的な話題」の違いはどのようなものなのでしょう。
準2級プラスのサンプル問題と準2級と2級の過去問を照らし合わせてみましょう。
ここでは、各級のライティング課題である意見論述問題を比べてみます。
準2級(2023年3回過去問)
Do you think it is a good idea for people to go to other countries for volunteer work?
(50~60語で解答)
「ボランティア活動で外国にいくのはよいことだと思いますか」
準2級プラス(サンプル)
Do you think it is a good idea for people to ask other people to take care of their pets while they travel?
(50~60語で解答)
「旅行中に他の人にペットの世話を頼むのは良いことだと思いますか」
2級(2023年3回過去問)
Today, some companies have online interviews for people who apply for jobs. Do you think this is a good idea?
(80~100語で解答)
「応募者にオンライン面接をする会社がある。これはよいことだと思いますか」
いかがでしょうか。2級では企業の動向について意見を求めているので、「社会的な話題」というは分かりますが、
準2級プラスの「身近な社会的な話題」は、他の人との関わりについて聞いているので、準2級より少し社会的なのでしょうか。
判断が難しいところですが、準2級よりもほんの少し「社会的」な質問がされるのかもしれまん。
文章力に関しては、準2級の「基本的な語句を用いながら」と2級の「多様な語句を用い、展開を考えながら~詳細に」の中間の、「多様な語句を用いながら~詳細に」となっています。
「基本的な語句」と「多様な語句」とは、例えば、
基本的な語句:I met her yesterday. 「昨日彼女に会った。」
多様な語句:I unexpectedly encountered her yesterday. 「昨日思いがけず彼女と遭遇した。」
といったように、より的確で具体的に意味を表す言葉を使えるということです。
当然ですが、語いレベルも英検レベルが上がるとそれにつれて難しくなります。準2級プラスでは、準2級よりも扱う語いが増えるということですね。
面接
次に、準2級プラスの面接はどんな感じなのか、見ていきましょう。
準2級プラスの面接問題のサンプルをみて、2級とそっくりなのに驚きました。
3コマ漫画のようなイラストも同じ形式です。
面接で聞かれる質問をみていきましょう。
英検準2級プラス | 英検2級 |
音読 問題1 文章に関する質問 問題2 絵に関する質問 20秒で準備をして、20秒で絵の説明 カードをひっくり返して、置く。 問題3 受験者の意見を問う質問 問題4 受験者の意見を問う質問 | 音読 問題1 文章に関する質問 問題2 絵に関する質問 20秒で準備をして、20秒で絵の説明 カードをひっくり返して、置く。 問題3 受験者の意見を問う質問 問題4 受験者の意見を問う質問 |
準2級プラスの面接試験の質問も2級と全く同じです。
ここもあえて形式を変えるよりも2級にあわせて2級の準備ができるようにしたようですね。
サンプルの解答例をみると、求められる答えにも差がありません。
例えば、3問目と4問目は、1つの質問に対して2文ずつの回答になっているところも同じです。
準2級プラスと2級の面接はほぼ同じと考えて、2級の面接対策用テキストで練習すればよいでしょう。
合格基準スコア
ここまで準2級プラスを、前後の級と比較してきました。
全体として2級と似ていましたね。
面接などは2級そのまま、と言ってもよいくらいです。
ただし、合格基準スコアが異なります。
同じような問題であっても、準2級プラスは2級よりも低い評価で合格できることになります。
この合格基準スコアは曲者でして、
例えば、3級を受験したときにスコアが基準スコアの1103+353=1456を超えて、2000くらいあったとしても、だからといって2級を受けたら合格できるというわけではありません。3級と2級では問題の内容も難易度も違いますからね。
ただ、準2級プラスと2級に関しては問題が似ているため、準2級プラスでハイスコアをとれた場合、要約問題の練習などのトレーニングを少し積んで2級に挑戦すれば、合格の可能性が高いと言えます。
まとめ
・準2級プラスは、準2級と2級の間の難易度。
・資格としての価値はあまりなく、2級準備のための練習級と思われる。(個人的見解)
・問題形式は2級に似ていて、2級対策を兼ねて進められる。
・2級より採点が易しい。